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電話業界でひっそり大激動 2025年1月14日から開始 双方向番号ポータビリティとその影響

証券コード5580「ここは、マル」、プロディライトです。

2025年1月14日、当社が身を置く電話業界で実はひっそりと大激動がありました。今回はその発端となった「双方向番号ポータビリティ」と、当社事業への影響についてお伝えします。



番号ポータビリティ、番ポとは?

この言葉を一度は耳にしたことがあるかも知れません。携帯電話の番号をそのままで通信キャリアが乗り換えられるモバイルナンバーポータビリティ、通称「MNP」という言葉の一部として日常生活で使われるようになりました。これは今からおおよそ18年以上も前の2006年10月24日、総務省の主導により開始されました。それまでは通信キャリアを変えると必然的に番号が変わりましたが、番号を変えることなく自由に乗り換えることができるようになりました。

実は固定電話番号も番ポできた

一方で、実は随分前から03、06などの固定電話番号も番ポが可能でした。これはローカルナンバーポータビリティ、通称「LNP」として知られていますが、MNPと比較して、聞いたことがない人がほとんどだと思われます。実際、お客様にサービスをご案内する際に「初めて知った」と言われることも少なくありません。

なぜ固定電話の番ポの認知度は低い?

理由は一つではないものの、当社事業を通じてではありますが、大きく2つだと考えています。

乗り換えようという動機が少なく、敷居も高かった

一つは、固定電話番号ではNTT以外に選択肢が少なく、その上面倒な書類手続きや、既存の電話システムとの接続検証含めた現地工事などがあり、時間とコストがかかったためです。MNPのように、キャリアショップでの即日乗り換えや、Webで手続きしてSIMカードを差し替えるだけ、というものではありません。よって、乗り換えのインセンティブが働きやすい電話代を常に気にしているような業種(例えばコールセンターなど)にしか知られていなかったのではないかと思われます。

乗り換えの制約が強かった

もう一つは、回線の種類による乗り換えの制約があったことです。それは「NTTから取得かつアナログやISDN時代に新規取得した番号のみ他社へ乗り換え可能」というもので、2025年現在のデファクトスタンダードである光回線(ひかり電話)で新規取得した番号での他社乗り換えはできないというものです。

さてこの条件、電話に詳しい人以外にはイマイチわかりにくいかもしれません。

そこで、少々大雑把になることを承知の上で言い換えると、黒電話(アナログ回線)からインターネットが普及し始めたあたり(ISDN回線)までの間に新規取得した番号のみ他社へ乗り換えができる、さらにもっと大雑把にいうと2000年初めぐらいまでに取得した古い番号のみ他社へ乗り換えできるとなります。よって、それ以降に取得した番号は乗り換え不可となり、かなり限定的な話になってしまうので認知されづらかったのではと思われます。


かつての番ポにはかなりの制約があった



実際、このことは当社事業において大きな課題の一つでした。このケースで当社サービスを番号そのままで利用するとなると、別途機器の設置が必要になるなど、メリットを100%活かした形で提供できないためです。

2025年1月14日、大きな動きがありました

このように認知度が低いと思われるLNPですが、2024年11月12日にNTTをはじめとする固定電話サービス提供事業者18社連名によるプレスリリースを皮切りに、ついに2025年1月14日、大きな動きがありました。「双方向番号ポータビリティ」の開始です。先に述べた乗り換えの制約が大幅に緩和され、光回線で取得した番号も乗り換えが可能になりました。

この双方向というネーミングですが、これまでNTTから他の事業者へのみ、という片方向での乗り換えであったものから、どちらからでも可能になった、という意味合いがあります。詳細は、手前味噌ではございますが、当社サービスサイトでのコラムをご参照ください。


双方向番号ポータビリティが当社事業に与える影響


結論から言うと、他社から当社回線サービスへの乗り換えがしやすくなり、当社事業の成長ポテンシャルが大きくなります。これまでお客様が当社サービスの導入を諦めざるを得ない大きな理由の一つがこの番ポ不可の問題であったことから、その課題が一つクリアになるからです。

一方で「双方向ということなら、流出もあるのでは?」という声もあると思われます。もちろんあるなしで言えば、それは否定はできません。

しかしながら、業界の客観的な事実として、NTTをはじめとする大手通信キャリアによる圧倒的なシェアに当社はチャレンジャーとして挑んでいるという構図があります。そのことを背景に、大手通信キャリア単独では難しい利便性の高いサービスとその提供形態によって差別化を図ることで、結果的に流入のほうが多く見込める、いうのが当社の考え方です。具体的には、回線だけではなく、いかにシステムやデバイス(端末・アプリ)を含めたトータルサービスとして充実させ信頼性を高められるかというもので、このことは、これまで一貫して当社の事業の特徴であり強みである「電話のワンストップ・ソリューション」としてお伝えしている通りです。

このように考えるのには理由と根拠があります。固定電話は、回線に加え、システム、デバイス(端末・アプリ)が揃って初めて成立するものです。たとえ回線だけ乗り換えられたとしても、それにつながるシステムとデバイスについてきちんと検証が取れているものを提供できなければ、それは全ての人が使える信頼性が高いサービスとして成立はしないからです。

当社が掲げる電話のワンストップ・ソリューション


なお少し話は逸れますが、この回線、システム、デバイス(端末・アプリ)を自社で全てワンストップで提供するビジネスモデルを確立したのは、当社が先駆者であると考えています。ステークホルダーの皆様との対話にて、よく「競合他社はどこですか?」というご質問をいただくのですが、まず厳密な意味で「無い」と回答した上で、都度「部分的には…」「似たようなところでは…」と説明しています。それは、この3つそれぞれに部分的に競合はしているものの、全く同じ形で展開していることがみられないからです。このビジネスモデルの独自性が当社の強みでもあるのですが、それはまた後日あらためて、IR noteでも説明させていただきます。

まとめ

長くなりましたが、当社事業視点でまとめます。

  • 携帯番号同様、実は固定電話番号にも番号ポータビリティ制度がある

  • これまでの番ポ制度は制約が多かったが、2025年1月14日に制約を大幅に緩和した「双方向番号ポータビリティ」がスタート

  • 双方向番号ポータビリティは、当社事業の成長ポテンシャルを大きくする


編集後記

今回は長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。
これまで双方向番号ポータビリティについて、ステークホルダーの皆様との対話の中で話題に出すことはたびたびあり、業界的にはインパクトのあるトピックスであったものの、思ったより反応が薄い…という肌感覚がありました。このような体験を元に、IR noteでお伝えし、業界のことに少しでも目を向けていただくことで、当社の立ち位置やスタンスの理解がさらに進むものと考えました。ご感想はもちろん、わかりにくかったなど、忌憚のないご意見を賜れれば幸いです。

なお本記事のリンクにも貼りましたが、このトピックスについて、当社INNOVERAのサービスサイトのコラムでもあげております。「双方向番号ポータビリティ」とGoogle検索していただければ上位に出てきますので、ぜひご覧ください。

経営企画室 清水



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